北海道の歴史・開拓の人と物語

北海道開拓倶楽部

出版プロジェクト『(仮)北海道民の歴史』

 

【企画趣旨】

北海道の開拓者精神を受け継ぐ決意の象徴として建立された北海道百年記念塔が解体されようとしています。北海道の貴重な建築文化遺産を遺そうと少なくない道民が反対の声を上げましたが、運動は広がりを欠き、世論を動かして行政の判断を覆すことはできませんでした。
 
520万北海道民のうち数百万道民が、直接的・間接的に北海道開拓に関わった者たちの子孫です。北海道開拓の歴史は数百万道民の歴史ということができます。そうであるのに、その象徴である北海道百年記念塔を守ることができなかったのは、どうしてでしょうか?
 
世界には、北海道並みに気温の下がる地域、雪が降る地域はありますが、北海道並みに気温が下がって雪が降る地域はほとんどありません。世界的にも希な極寒豪雪の地をわずか100年で、欧州の農村地域と比肩できるほどに発展させた北海道開拓は、「世界史の奇跡」と呼ばれたものです。そこには先住アイヌの人たちを含めた先人たちの、血の滲む苦労と創意工夫がありました。
 
一方でこの50年、北海道開拓は、侵略である、迫害である、収奪であると、絶え間なく批判にさらされてきました。学界、文壇、マスコミ、そして学校で、執拗に繰り返された批判によって、私たち道民は、郷土の歴史に自信を失い、劣等感、罪悪感すら植え付けられました。北海道百年記念塔保存運動で「開拓の象徴を守れ」と叫んでも、多くの道民の心を動かすことができなかったのはこのためです。
 
歴史を忘れた民族は滅びるといわれます。事実、北海道の人口は24年連続で減少し、この10年は減少数は全国一です。開拓に尽力した父祖を犯罪者のように扱われ、誰がこの地を愛して将来に引き継ごうと思うのでしょうか? 
 
北海道百年記念塔建立記には「未来への限りない発展を象徴するこの記念塔が、520万道民、なかんずく時代を担う青少年に、開拓者精神の真髄を伝承するとともに、道民としての誇りと、郷土愛に燃えて、偉大な北海道の建設に邁進するための指標ともなることを祈念してやまない」と記されています。
 
今、私たちに求められるのは、北海道開拓の復権です。いわれなき偏見から開拓の歴史を救い出し、開拓者精神の真髄を伝承することで、道民に誇りと自信を呼び覚ますことです。
 
しかし、多くの道民は、漠然と先人の苦労を想像できても、北海道開拓に対して具体的なイメージは持てないでいます。そのことが開拓に向けられた批判を真実として受け入れてしまう素地ともなっています。
 
今、多くの道民は、開拓に尽くした功労者を思い浮かべることができず、原生林を拓いた後、父祖たちがどのように地域をつくっていったのか、知ることもありません。書店の本棚に北海道開拓の全体像を前向きに紹介する一冊の本もないのが現状だからです。
 
こうした現状を打ち破り、北海道開拓の歴史を誰もがイメージできる本として「(仮称)北海道民の歴史」を制作することが、このプロジェクトの目的です。
 
北海道開拓の本がないのは、開拓排斥で凝り固まった道内の文化風土に加え、出版不況のなか、とりわけ点数の望めないローカルもの、社会科学ものであるためです。出版社を動かすには、みなさまの多くのご支援が必要です。全国出版に向け、お力添えをいただきますようお願い申し上げます。
 
 

【内容構成案】

下記構成案は仮のものです。制作進行に応じて変化していくことをご了承ください。

 

《第1部》開拓前期――維新の第二幕としての北海道開拓

北方から迫るロシアの脅威から日本の独立を守るため、明治天皇のご意志によって開始された北海道開拓。この章では、幕末の外国船来港事件を前史として開拓使の設置から日露戦争の開戦までの時代を扱います。北海道の開拓をどのように進めていけば良いのか、暗中模索の時代でした。そうした中で明治維新の志士たちと同じ志を持った若者たちが、北の大地に飛び込みます。
 

第1章 明治天皇の北海道開拓
――北の脅威から日本を守る。北海道開拓は明治天皇のご意志によって始まった
第2章 逆賊の汚名を雪ぐ 
――幕末の動乱で逆賊の汚名を受けた東北武士は北で忠義の誠を示そうとした
第3章 創業ベンチャーを目指す 
――因習のしがらみから解放され、無限のキャンバスに夢を追いもとめた
第4章 先住アイヌと後住移民 
――世界にもまれな極寒豪雪の地に生きる術を教えたのは先住アイヌだった

 

《第2部》開拓中期――滞留から定住へ ここに骨を埋める覚悟

日露戦争から第一大戦まで。国運を賭けた日露戦争に勝利した日本は植民地化の悪夢から解放されました。勝利の立役者は元屯田兵を主体に編成された第7師団でした。この戦争の主力となって活躍したことは道民に多大な自信を与えました。開拓は加速し、北海道は出稼ぎの場所から定住の場所になっています。しかし、開墾は終わったものの作物の販路が見いだせない、略奪農法による地力の低下などの問題もあらわになります。そうしたところに欧州で大戦が勃発。北海道は空前の好景気に沸き、開拓地に一時のゆとりをもたらしました。
 

第1章 屯田兵の日露戦争 
――二〇三高地で、奉天大会戦で勝機をもたらしたのは元屯田兵だった
第2章 終わりのない試練  
――水害、冷害、獣害、自然が与えた試練を生き残ったものが道民となった
第3章 ここに理想都を築く
――ここに骨を埋めよう。こう決意したとき開拓者は「まち」を立ちあげた
第4章 大戦景気の悲喜劇
――欧州大戦は空前の好況をもたらし、崩壊寸前の開拓地を救った

 
 

《第3部》開拓後期――道内生まれの開拓2世の台頭

第一次大戦の終戦から太平洋戦争の終戦まで。第一次大戦の戦後に穀物相場は大暴落。翻弄された農民は、投機的農業から伝統的な稲作に回帰しようとしますが、今度は昭和初年の連続大冷害に襲われます。北海道は深刻な危機に陥りますが、道内で生まれた開拓2世、すなわち北海道以外に故郷を持たない世代が台頭し、北海道らしさを追いもとめる活動が展開されます。新生活運動などにより、府県には見られない北海道ならではの生活文化がつくられるのもこの時期です。
 

第1章 組合の精神 
――苛酷な自然に立ち向かう共働の精神から生まれた北海道の組合運動
第2章 デンマーク農業から北方農業へ
――デンマークをモデルに日本式でも米国式でもない北方農業を目指した
第3章 北海道オリジナルの追求
――生き残る戦いを脱した人々は北に根ざした生活文化をつくりはじめた
第4章 昭和の大冷害と自力更生運動
──昭和初年の連続大冷害は開拓を窮地に陥れた。官民挙げた復興運動が始まる

 

《第4部》戦後の道内――確立の昭和、喪失の平成

戦後の北海道は、広大な大地と豊かな資源によって日本の戦後復興に大きく貢献しました。北海道人は自信を高めました。その現れとして昭和43年に北海道百年が空前の規模で行われますが、一方で左翼歴史運動が高揚し、自らの歴史を否定しています。平成に入ると、小泉三位一体改革の地方切り捨ての中で北海道の切り捨てが始まり、そのイデオロギーとして左翼歴史運動の開拓否定が政権与党に取り込まれていきました。
このようにして北海道150年の年に、北海道開拓の象徴である北海道記念塔の解体が決められました。
 

第1章 開拓の時代から開発の時代へ
――戦後日本の荒廃を北海道が救う。開発の影で激化する左右対立
第2章 北海道百年と民衆史運動
――北見の教師が歴史運動で日本を席巻し、北海道史を書き換えた
第3章 バブル崩壊と産業クラスター 
――拓銀破綻、恐慌と呼ばれた北海道を立て直すモデルを北欧に求めた
第4章 北海道百年記念塔解体が問いかけるもの
――歴史を失い、今だけ・金だけ・自分だけが横行する北海道の行く末
 

 

【編集制作】

 
本書は一般読者を対象に、北海道開拓の復権を目指す「北海道民の歴史」シリーズの第1弾として、主に明治新政府による北海道開拓から現在まで扱います。第2弾として「幕藩期の開拓史」を構想します。
 
北海道の歴史を共有する妨げとなっている先住アイヌと後住道民の分断状況の克服に寄与することも本書の目的です。一部にアイヌの人々の民族性、先住性を否定する議論がありますが、本書はそうした議論に組みするものではありません。
 
本書は、海堂拓己が運営する「北海道開拓俱楽部」のコンテンツを基本として編集し、道外の道産子も対象にして全国出版を目指します。
 
出版は令和5年の年内もしくは年度内として、出版社に対して採算性を約束するため、クラウドファンディングを立ちあげて買い取り保証を行います。
 
中学生以上の一般人を対象とした本として読みやすさ、分かりやすさを目指しますが、編集協力者による査読によって記述内容の信頼性を確保します。
 
クラウドファンディングの実施のための出版協力員、査読のための編集協力員を広く集います。
 
 

定例勉強会

定例勉強会は、筆者・海堂拓己が起稿する「(仮称)北海道民の歴史」の草稿を読んでいただき、誤りや不足の不足、改良点の提案などをいただくものです。次の予定で行います。
 

◎日程
【2023年】 
 7月22日(土) 9月23日(土) 10月21日(土) 11月25日(土) 12月16日(土)
【2024年】
 1月27日 2月24日(土) 3月24日(土)
 
 いずれも13時30分開始 ※会場実費 ¥1000を請けたまります。

 

◎会場
札幌市厚別区厚別中央54丁目12-1 若草物語102号室

   

 

 

◎連絡先
 Facebookアカウント:https://www.facebook.com/morhiroyoshi
 電話:090-9753-8828
   メール:info@100nenkinentou.fun

 
◎その他連絡は下記にて適宜発信します。
 
 北海道開拓倶楽部 ホームページ
 https://www.hokkaidokaitaku.club/index.html
 北海道百年記念塔 Twitterアカウント
 https://twitter.com/KaitakuClub
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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