北海道の歴史・開拓の人と物語

北海道開拓倶楽部

2019年度「全国学力テスト」アンケート結果発表

「開拓」否定教育の結果か!?
地域に無関心、自分に否定的な北海道の子どもたち

 

本サイトが北海道開拓の復興を訴えるのは、単に昔を懐かしがっているのではありません。北海道開拓の否定が北海道の子どもたちの心に暗い影を投げかけ、ひいては若年人口の流出=地域崩壊を招きかねない危機感からです。2019年度の調査結果(参考リンク:国利教育政策研究所>全国学力・学習状況調査> 平成31年度(令和元年度) 報告書・調査結果資料)は、まさにその懸念を裏付けるものとなりました。

 
 郷土を愛する心を育てることは教育基本法や学校教育法で「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する態度を養う」ことが目的として定められおり、学習指導要綱でも「先人の努力を知り、国や郷土を愛する心をもつこと」が最重要事項の一つに位置付けられています。
 
 しかし、北海道では、子どもたちの父祖の歴史である「開拓」がまったくと言っていいほど取り上げられていません。このことは重要なのであらためて紹介していきたいと思いますが、北海道の郷土学習・ふるさと学習で行われているのはほとんどが「アイヌの歴史と文化」と「北方領土」、「その他」です。(参考リンク: 北海道教育庁>ふるさと教育)そして「アイヌの歴史と文化」の中では「開拓はアイヌ民族に対する否定」であると教えられています※。
 
 自分が生まれ育った地域は〝侵略によって作られたもの〟〝自分は侵略者=犯罪者の子ども〟と繰り返し教えられ続けてきた結果が、学力テストのアンケートで悲しい現実として示されました。
 

※全道のすべての小中学校全児童生徒に配布されている副読本『アイヌ民族:歴史と現在』の【教師用指導書】37p「【用語】「開拓」と「開基」」には「「開拓」とは、「未開」の大地を切り開くこと。北海道「開拓」と言えば、先住民族であるアイヌ民族の存在を無視した言葉となる」とある https://www.ff-ainu.or.jp/web/learn/culture/history/index.html

 

自分に肯定的になれない子どもたち

 
 

 
 なぜ自分はここにいるのか。自分はどこから来た何者なのか──。小学生という自我を形成する一番大切な時期に、北海道の子どもたちは学校で、このアイデンティティの一丁目一番地に対して「侵略者」という教育を受けます。そうなると自分に対して肯定的になれないのは当然です。(5)「自分には、よいところがあると思いますか」という設問に対して、2割を超える子どもたちが否定的な答えをしています。
 

 自己への肯定感は、物事に対する積極性、将来への意欲、周囲との協調性など、ポジティブな価値観の土台となるものです。北海道の子どもたちが (8)「将来の夢や目標を持っていますか」という設問で全国を下回るのは、そうした現れと思われます。
 

地域の未来に無関心な子どもたち

 

 
 学校で「このまちはおまえの父祖がアイヌ民族から奪い取った土地だ」と繰り返し教えられて、郷土への愛や誇りが育つわけがありません。 (24)「地域や社会をよくするために何をすべきかを考えることがありますか」という設問に、否定的な答えを返す子どもが5割を超えるのは当然といえるでしょう。
 郷土に残ってまちをなんとかしたい──そう思う気持ちが「まちづくり」の原点です。問題は、この子たちが大きくなって、親の商売を継ぎたい、地域に残りたい、出ていってもいずれ戻りたい、離れても地域のために何かしたい、と思うかどうかです。アンケートを見ると、北海道の中小都市、郡部の未来が案じてなりません。
 

利己主義、刹那主義に染まる子どもたち

 

 
 開拓は大自然が与えた試練への挑戦です。困難を克服していった中には開拓地ならではの助け合いの精神がありました。開拓を否定することは、こうした開拓という父祖の偉業が私たちに残してくれた数々の素晴らしい観念を失うことです。 (10)「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦していますか」という設問で全国を下回ったことは、父祖の想いが私たちの代で断絶している悲しい現実を示しています。
 

 
(14)「人が困っているときは,進んで助けていますか」という設問で低調なのは、父祖の歴史、開拓者精神が否定された結果、「自分だけがよければいい」「いまがよければいい」という利己主義、刹那主義が、北海道に広がっている現れと思われてなりません。利己主義、刹那主義とも、北海道の開拓精神から最も遠いものです。
 

ほとんどの項目で全国を下回る子どもたち

 
 全部で57ある設問の中で気になった5つを取り上げましたが、全体的にほとんどの項目で北海道の子どもたちは全国平均を下回っています。次は、アンケートから教科に関わる設問などを除いた33の設問の回答状況をまとめたものです。ポジティブな回答割合が全国を上回ったのは6項目だけでした。
 「学力テキスト」は、国語や算数など教科の点数が話題になりますが、こうした子どもたちのアンケート内容が話題になることはほとんどありません。しかし、教科の成績も子どもたちの前向きな気持ちから生まれてくるものです。北海道の教育が抱えるさまざまな問題を乗り越えるためには、まず、私たちは、父祖の歴史を正しく子どもたちに教え、地域や家族の歴史に対して誇りと責任をもつ心を育てなければなりません。
 

 
 このコーナーでは、教育の問題をさまざまな視点から追求していきたいと考えます。
 

調査結果の原本は次のリンクから
国立教育政策研究所>TOP>全国学力・学習状況調査 > 平成31年度(令和元年度)報告書・調査結果資料>都道府県別>北海道

 

 
 

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