北海道の歴史・開拓の人と物語

北海道開拓倶楽部

岩出山領主伊達邦直主従の
当別開拓大河ドラマ

 
当別町出身の小説家・本庄陸男が昭和13(1938)年に発表した長編小説です。当別町を開拓した仙台藩岩出山伊達家主従の苦闘を描き、第8回芥川賞の候補となりました。
 
幕末の戊辰戦争で仙台藩は敗北し、同藩の支藩であった岩出山家は所領が没収されます。当主・伊達邦直は北海道開拓を志願。旧家臣は反対しましたが、自らが開拓にあたらないと大業は成功しないとして、家督を弟に譲り、自ら180名の家臣団を率いて北海道開拓にあたりました。
 
この小説は、岩出山伊達家開拓団の実務責任者であった家老の吾妻謙を主人公としたもので、当別開拓の入植地選定から開墾、石狩川の氾濫、開拓役人との葛藤など、明治初期の士族開拓のあり方がリアルに描かれています。今のように開拓が排斥されるようになるまでは人気の高い大河小説で、「大地の侍」など映画になりました。
 
作者の本庄陸男は、明治38(1905)年に元佐賀藩士・本庄一興の6男として当別町に生まれました。本庄一興は当別町太美の郡長でした。青山師範学校(現東京学芸大学)を卒業後、小学校教員を務めていましたが、昭和5(1930)年から作家生活に入ります。同人誌『槐』に憐賛した『石狩川』が高く評価され、作家としての活躍が期待されましたが、昭和14(1939)年に肺結核で亡くなりました。
 
生まれ故郷の開拓の様子を圧倒的リアリズム描いた『石狩川』──北海道開拓の精神が忘れらようとしている今こそ読まなければならない小説です。
 
※テキストは「北海道文学全集・第8巻」(1980・立風書房)からとり、『青空文庫』版を参照しています。
 
 
 
 
 

 


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